赤ちゃんや子どもにおもちゃを与える時、その子が喜んでくれるものを選びたいと、きっとみなさんもお考えになることでしょう。
日頃、お客さまに玩具をおすすめしている私たちも、お子さん達に楽しんでほしいと願いながらおもちゃ選びのお手伝いをしています。
実際に遊ばれるお子さんとご一緒に、店頭でじっくり試してお選びになるお客さまも少なくありません。お子さんの興味や関心をじっくりと見極めて選ぶことはとても大切なことです。
ただし、小さなお子さん、まだ言葉で説明することが難しい年頃のお子さんと一緒に選ぶとき、保護者の方に知っておいていただきたいこともあります。
人間はそもそも、鮮やかな色や光、音のするものに注意をひかれるようにできています。それは生き物として、いち早く周囲の危険を察知し身を守る行動をとるために、太古の時代から私たち人間にも備わっている性質だと言われています。本能的な行動が多い小さな子どもたちには、その傾向がより顕著にみられるようです。
また赤ちゃんや小さな子どもは、顔(らしい)形に見えるものに、他のどんな図形よりも強く注意を向ける傾向があることがわかっています。おそらくは生まれて間もない赤ちゃんが生きていくために、いち早く身の回りの人の顔を認識できることが必要不可欠だから備わっている特性なのでしょう。
こうした生まれながらに備わった性質や認識の特性をふまえると、赤ちゃんや小さなお子さん達の注意をひくもの、興味を示すものが、理解しやすくなります。
例えば、鮮やかな色使いのもの、音がなるもの、お顔がついているものなど、単純に刺激の強いものに、興味を示すことは多いようですね。みなさんがよくご存じのおもちゃには、こうした条件にあてはまるものが実に多いことも、お気づきになった方も多いと思います。
では、こうした子どもが反応しやすいおもちゃ=子どもの喜ぶよいおもちゃ、ということでしょうか? 私たちは、必ずしもそれが全てにあてはまるとは考えていません。
音や光の刺激が強いおもちゃの中には、電子的な仕掛けで作られているものも少なくありません。スマホやタブレットのアプリといったものも、ここに含まれるでしょう。
こうしたおもちゃは、子どもの働きかけとの関係がわかりにくいもの、ひどい場合には使い手の働きかけとは無関係に、音や光の刺激を発しているものもあります。そんなおもちゃを使う時、子どもはおもちゃに遊ばれているだけではないのでしょうか。
そこに発見や探求や工夫といった、本当の意味で、子どもたちを夢中にしてくれる遊びが存在しているのでしょうか。
私たちが専門家としておすすめするおもちゃは、使い手の働きかけがあって初めて遊びが始まる、アナログなおもちゃが中心です。それが好奇心や発見、探求心、想像力を育むような豊かな遊びを引き出すと考えているからです。
こうしたおもちゃの中には、見た目が地味なもの、どうやって遊ぶのか一目ではわかりにくいものもあります。おもちゃ選びに迷う時は、遠慮なく専門店のスタッフにたずねてみてほしいと思います。
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